京都大学へおこしやす ―古都で送る大学生活―

はじめに

 昨年卒業した93期の得田です。現在はタイトルの通り京都で学生をやっていて、農学部に属しております。93期は京大へ現役で進学する人が少なく、最初は心細い思いをしていましたが、楽しいキャンパスライフを過ごすことができております。そんな一京大生から京都での学生生活がいかなるものなのかを書き連ねていきたいと思います。

京都大学について

 京都大学と聞くと、多くの人は吉田寮や熊野寮といった自治寮、授業に来ずに遊んでばかりいる学生、変人集団などといったイメージを持っているかと思いますが、案外普通の大学です。(武蔵生の方が不真面目で頭のおかしい人は多いような気がする。) 関西や西日本の地方公立高校出身者が多いからか、基本的には真面目な人が多いです。京大内で非常識なやつや不真面目なやつは大体中高一貫男子校のやつです(偏見)。あと、玉石混交の武蔵生と比べて何かの才能に秀でている人が多いような気がします。基礎教養は武蔵生の方が上のような気がしますが、○○のことには誰にも負けない!という人は圧倒的に京大生の方が多いと思います。そのためか、知識でマウントをとるような人は少なくとも私の周りにはいないです。ところで、京大は関西の大学のため、1年生、2年生のことを1回生、2回生と呼びます。上洛してきて1回生と呼ばれたときは京大生になったなと実感したものです。学校でもバイト先でも回生呼びをされるので、最近では1年生や2年生という呼び方に対して違和感を覚えるようになりました。

授業について

 京大の授業は全学共通科目と専門科目に分かれています。全学共通科目は、いわゆる教養科目で1回生がメインで学びます。テストをサボったり、ほとんど授業に出なかったりしなければ単位は来ますし、悪い成績をとったとしても某本郷の大学のように進振りに影響が出るわけでもないし、研究室配属に支障をきたすこともあまりないので、適当に済ませて、面白い講義だけ聞くのがいいかと思います。私の所属している農学部では必修科目は語学だけなので、それ以外は本当に適当に済ませて問題ないです。ただ、語学を落とすと、2回生でもとらざるを得なくなり、面倒くさいことになります。専門科目は文字通り学部ごとに専門に学ぶ科目で、こちらはしっかり勉強しないと単位は来ないです。成績が悪いと研究室配属にも響くことがあります。学部によっては課題が重く大変なようですが、農学部は比較的楽なようです。

サークルについて

 京大は大きい大学なので多くのサークルがあります。京大生は基本オタクなのでオタク系サークルはアニメ系から機械系、語学系から学術系まで豊富にそろっていますし、糞陰キャが大学デビューして所属しようとすることでおなじみのテニサーだけで30もあります。新歓期にはどのサークルも積極的に勧誘していますし、複数のサークルに所属している人も多いので自分に合うサークルがきっと見つかると思います。筆者は生き物系サークルに所属していて、会員で西表島や北海道、奄美大島に行ったりして生き物とふれあっています。大学での人間関係の基軸がサークルに置かれる場合は非常に多いので、大学デビューなんかして無理しようとせず、自分と価値観の近い仲間の多いサークルに入ることをお勧めします。

一人暮らしについて

 京大生のうち体感で7割くらいの人は一人暮らしです。関東圏や地方都市出身者はもちろん、神戸の人とかも一人暮らしをしている人は多いです。そのため、互いに家が近く、心細い思いをするのは最初だけです。引っ越してからすぐの時は、戸惑いますがすぐに慣れます。自炊も最初は難しいかもしれないですが、簡単にパスタなどから始めればいいと思います。半年も経てば冷蔵庫の中の食材管理や日々の食事作りなどは難なくできるようになります。うまくやれば食費を2万以内に抑えて、趣味にお金を回すこともできます。

バイトについて

 多くの京大生がバイトをしています。定番は飲食系で、賃金や安くブラックな場合が多いですがシフトを入れるだけお金が入ってきます。大学生のバイトといえば塾講や家庭教師などがありますが、シフト入れ放題ではないので、そこまで稼げません。というか、京都は大学生に対する小中高校生が少ないので、東京ほど働き口は多くありません。おすすめは研究室バイトです。時給は1000円とやや高く、それでいてシフトもけっこう入れられてホワイトです。他にも大学生協が募集していたりします。私は受験生・新入生に物件を紹介する短期バイトをやっていましたが、ホワイトで楽しく仕事をすることができた割には2ヶ月弱で10万円ほど稼ぐことができました。

京都の町について

 京都の特徴はなんといってもこじんまりしていることです。京大から京都最大の繁華街、四条河原町で自転車で20分でいけます。四条河原町は新宿や池袋と比べれば規模は小さいですが、一通りの店はそろっているので不自由することはありません。阪急を使って大阪に出れば日本橋の電気街やユニバもあります。少し遠いですが、多くのLCCが発着している関西国際空港にでることもできます。関西屈指のラーメン激戦区、一乗寺だって10分でいけます。天下一品の本店もすぐ近くにあります。また、京都は古くからの都市なので、神社仏閣も多く存在します。京大の周りだと、世界遺産の下鴨神社や銀閣寺などがあります、かと思えば自然もすぐ近くにあります。新歓の定番である大文字山も自転車で5分だし、霊山比叡山の登山口も自転車圏内です。我が家にはノコギリクワガタが飛んできたこともあります。春にはオオルリやサンコウチョウが囀り、夏にはオオムラサキが飛び回り、秋にはアカトンボが大群を作り、冬にはオシドリが池を泳ぐ、そんな自然が残されています。

 さて、京大の周りにはスーパーや飲食店、100均、家電量販店などが豊富にそろっています。自転車で10分走ればあらゆるものがそろいます。タクシーの運転手に聞いたところ、これほど多くの店が近くにそろっている大学は京大以外にないそうです。  ところで、京大生は移動手段をほとんど自転車に依存しています。京都の町が平らで人通りもそれほど多くなく、そこそこの距離に何でもそろっているので、電車やバスに乗る必要はほとんどありません。関東と大きな違いですね。大学では珍しく構内を自転車で走ることができるので、コロナ騒動の前の朝は一昔前の中国のように、自転車に乗っている人であふれていました。

最後に

 京都という町は東京と大きく異なる。飛び交う言葉は関西弁で、それ以外の出身の人は自分の故郷の言葉で喋る。満員電車に揉まれることもなく、のんびりと通学できる。一人暮らしの人も多いので誰かの家に集まって飲み明かすということも躊躇なくできる。コロナ禍にあってもあまりギスギスはしていない。大きい町ではあれど、どこか時間の流れが違うように思えるのである。人の目を過度に気にしたりすることはなく、時間に追われるような雰囲気や大都市特有の圧迫感が存在しないのである。東京の町に疲れたという受験生の方は是非京都大学を受けてみてはと思います。