筑波大学医学群医学類の誘い

1.はじめに

 ここでは私が通う筑波大学医学群医学類の紹介をさせていただきます。国立医学部は大学によって様々な特色をもっており、正直どの大学を調べればよいかわからないと思います。そもそも「医学部とは…」という感じだと思います。今回はその手助けとなればいいと思っています。本学に興味を持ってもらえたら幸いです。

 簡単に本学の特徴をまとめると「総合大学である」「臨床実習が長い」「一人暮らしの充実」です。

2.通学

 筑波大学の最寄駅はつくばエクスプレス線「つくば駅」です。筑波大学のキャンパスは主に2つにわかれています(東京にもありますが割愛します)。つくば駅から近い春日キャンパス、少し北上して本学のキャンパスです。本学のキャンパスは南北に縦長く、つくば駅から近い順に、医学エリア・体育芸術エリア・大学会館エリア・全学エリアと4つのエリアに分かれています。医学エリアはつくば駅から徒歩20分、バスで7分程度の位置にあります。余談ですが、医学エリアから全学エリアに行くには自転車で15分かかります。本当に広いです。

 通学方法は、一人暮らしの人は自転車、実家から通いの人はつくば駅まで電車、つくば駅からは大学循環バスもしくは自転車です。1年は授業間の移動で自転車が必要になるので、学生全員が自転車をもっています。バスは雨天時に使うことが多いです。

3.授業

 医学類では1年、または3年までに指定された単位数の基礎科目(いわゆる教養)をとる必要があります。しかし、2年以降は医学の指定された授業(専門科目)が詰め込まれているため、1年に基礎科目をとる人がほとんどです。便宜上、基礎科目と専門科目にわけて説明します。

〈基礎科目〉

 基礎科目には必修科目と選択科目があり、国語・英語などの必修科目は1年の時間割に組み込まれます。選択科目は空いている時間割に好きな授業を入れることができます。総合大学であるため、医学以外の興味ある分野についての授業を入れることができるのが最大のメリットです。授業によって成績の評価方法はテスト、レポートなど様々です。また、授業を開設する学群のエリアで授業が行われるため、筑波大学を知るきっかけにもなります。

〈専門科目〉

 主に1~3年の臨床実習前教育、4~6年の臨床教育、1~6年の医療概論の3つに分けることができます。ここでは割愛しますが、6年の実習終了後から総括講義(いわゆる国試対策)が始まります。

 ・臨床実習前教育

 1年の春学期に病院見学実習や訪問看護実習などの早期体験実習が行われます。入学直後のモチベーションが高い時期に医療現場を実感できる貴重な実習であり、実習が多い筑波ならではの授業です。

 1年秋学期から2年春学期にかけて基礎医学中心の9コース、2年秋学期から3年秋学期にかけて臨床医学の基礎中心の19コース、3年終了時に社会医学の1コースからなる医学基礎の授業があります。医学基礎の授業は講義・実習・PBLで構成されます。特にPBL(問題解決型テュートリアル)はシナリオを用いた少人数グループでの討議・自己学習・レポート作成を行う重要な授業です。成績はコースごとに試験・実習・PBLの総合評価となっています。

 ・臨床教育

 4年春学期には、4年秋学期以降に始まる臨床実習の準備期間として小括講義、身体診察など臨床実習を行うために必要な領域を学ぶクリニカルクラークシップ準備学習が行われます。

 4年8月・9月に行われるCBTとOSCEに合格した学生は4年10月から6年6月まで実施される臨床実習に参加します。期間は主に3つに分けられます。まず、主に附属病院で内科や外科、産婦人科、小児科、精神科といった基本となる診療科を4週間ローテートするPhase1。次に、総合診療科や診療所などの地域実習、興味のある診療科を選択する選択CCが含まれているPhase2です。最後に自由選択実習です。

 ・医療概論

 カリキュラムの大きな柱の一つとして、医師患者関係、チーム医療、地域医療(プライマリ・ケア)、医療安全、行動科学・ヘルスプロモーション、医療倫理、プロフェッショナリズムなど、臓器別・症候別の枠組みでは修得が難しい領域について体系的に学ぶことを目的として、1~6年次の全ての学年に「医療概論コース」が設置されています。

4.時間割・休み時間の過ごし方

 時間割も授業同様に1年と2年以降で大きく異なります。また、筑波大学は1コマ75分、休み時間15分(昼休み50分)と他大学より短くなっています。

 1年(特に春学期)では上記に述べた基礎科目を必要な単位数を確保するために、自分が決めた科目の時間割に沿って授業をこなします。秋学期以降から始まる多くの専門科目の授業に備え、多くの人が春学期に基礎科目の授業をこなし、秋学期に余裕をもたせます。基礎科目は他学群のエリアで行われ、また、筑波大学が地理的に南北に縦長のキャンパスを持つため、休み時間はほとんど自転車による移動を強いられます。医学基礎の授業がはじまるとその移動はなくなります。

 2年以降はほとんど毎日のように授業が4~5コマ入っており、座学や実習、グループ学習など様々です。これらの授業は大学が決めたカリキュラムにそって行われるため1年のような「履修を組む」ということはしません。

 基本的に空きコマ・休み時間は同期と話したり、課題をこなしたりしています。昼休みに校外の飲食店に行くこともありますが、校内で昼食を済ませることがほとんどです。長い空きコマだと同期の家に行ったりして休んでいます。授業が詰まっている分休むことが重要です。

5.学校行事

 1年の5月末に行われる「やどかり祭」、毎年11月上旬に行われる「雙峰祭」、5月中旬と11月中旬におこなわれる「スポーツデー」が学校行事として挙げられます。

 やどかり祭は全学類の1年の生徒が参加します。クラス単位で屋台を出したり、学類ごとに集められた有志の学生がステージで踊りを披露したり、神輿を制作したりします。同期との交流を広げる絶好の機会です。

 雙峰祭はいわゆる大学祭のことをさし、2日間にわたって行われます。部活・サークル単位での出店が多いです。医学のキャンパスは使われず、他学類のキャンパスで行われます。他大学の大学祭と変わらず賑やかです。

 スポーツデーは1年で2回行われ、それぞれ2日間行われます。筑波大学の学生及び教職員がスポーツを楽しむ、筑波大学ならではの行事です。同期や先輩・後輩などとチームを作ってサッカーやバスケなど様々な種目に参加できます。1人が参加できるチーム数・種目数に制限がないことも特徴的です。

6.人間関係

 医学類の生徒は1学年130~140人前後で、ほとんどの人が医学系の部活・サークルに入っています。同じ部活・サークルの同期や先輩、後輩とのつながりが深いです。部活・サークル内での上下関係は中高よりも強いです。また、試験前に一緒に勉強するグループが自然とできています。そのグループは部活つながりや実習班つながりなど様々です。それでも、グループに関係なく試験前の同期の結束力は本当に強いです(笑)。

 1つ注意してほしいのが、全学のサークルに入らない限り他学類の学生とのつながりはほとんどないということです。幸いなことに自分が所属している部活が全学の同好会と共に活動しているため、自分は他学類の生徒と交友があり充実しています。医学系の部活でも他学類の人の入部を受け付けている部活もあるので、他学類とも交流したい人は部活選びの参考にしてください。

 筑波大学医学群は部活が盛んに行われていて、東医体ではどの部活も常に上位の成績を残しています。体育施設が充実している分活動の幅が広いです。

7.留学など

 先ほど述べた自由選択実習の期間で、毎年10名前後の学生が選考の上、主に欧米やオーストラリア、東南アジアなどで実習を行っています。

8.1人暮らし

 筑波大学生の8~9割が1人暮らしをしており、医学エリアに近いアパートに住む人がほとんどです。スーパーや薬局は自転車で行ける距離にあり、ショッピングセンターの「イーアスつくば」にも自転車で行けます。自炊は部活の無い日に作り置きする程度です。また、飲食店も多く、学生の街なので安くて量が多いです(笑)。周りに遊ぶ場所がないため、1人暮らしをしている人の家に行き遊びます。もちろん勉強会も開かれます。都内の大学生とくらべて終電に気をつけなくていいのが大きいです(笑)。1人暮らしをしている分、時間の使い方・生活管理が自分自身に委ねられ人間として大きく成長します。1人暮らしは人間関係を深める大きな要因にもなっています。

9.おわりに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。拙いご説明でしたが、筑波大学医学群医学類を知るきっかけとなれば幸いです。大学選びは今後の人生を大きく左右するものとなるため、大学のパンフレットを手に取ったり、大学のオープンキャンパスに行ったり、先輩に大学のことを聞いてみたりしてください。