アルバイトについて(学習塾バイトの場合)
1.はじめに
多くの大学生が高校からの大きな変化として感じるものの一つがアルバイトである。労働に対してまとまった報酬が定期的に支払われるシステムというのはそれまでの生活をガラッと変えてしまうものだが、実際にどのような手続きを経て、どのようなスケジュールで進んでいくのかというのはやってみないとわからない割に情報が少なかったりする。
今回はそのアルバイトの一つであり、おそらく多くの武蔵生が経験することになる学習塾バイトについて、バイト探し~採用、対象とする生徒や業務の内容などを筆者の1年間の経験をもとに書いていく。あくまで世に数あるアルバイトの一例であることは十分留意の上、近い将来の生活の助けとしてほしい。
2.アルバイトを始める
アルバイトを始める時期というのはなかなか判断が難しいところだが、個人的には大学の授業が少し落ち着いてきた5~6月をお勧めしたい。基本的に採用は4~5月に行われ、説明会などもその時期に多く開催されるのでタイミングを少しずらす形になるが、塾バイトは基本的に人が足りていない(理系分野は特に)ので向こうも時間を作って対応してくれる。面接も一応行われるが、そこで落とされることはまずないので安心して欲しい。室長としっかり話す機会を設けられるのは大きなメリットであるので、わからないことについては臆せずどんどん質問するとよい。
次にアルバイト先の塾の選び方だが、まず業務内容をきちんと確認しよう。特に注意すべきは指導前後や指導中に指導報告書の類を書かされるかどうかで、これがあるにもかかわらず指導前後時間に給与がない塾は要注意である。大半の武蔵生は中学受験の際どこかの塾に通っていたと思うが、そこから送られてくるアルバイト募集にホイホイ乗っかってしまうのはあまり良い選択とは言えない。積極的に説明会などに参加し、アルバイト向けの資料を入手しよう。ネットで検索をかけるのも一つの手だが、公式サイトなどの情報は必ずしも実態と一致していないのには注意すべきである。
3.実際に働いてみる(J塾の場合)
晴れてアルバイト先が決まったならば、いよいよ本格的な仕事がスタートする。採用が決定したら即業務開始というのは流石に難しいので、最初の1~2回は先輩方の指導を見学することになるが、それ以降は通常業務に放り込まれることになる。どのアルバイトにもある「研修期間」とは名ばかりで、実際は通常より低めの賃金で働かされる期間というわけである。こればかりはどうしようもないので我慢しよう。
次に業務の流れについてだが、筆者の勤務するJ塾に関しては
・指導15分前くらいに出勤。
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・その日担当する生徒の情報が入ったファイルを取り、指導内容を確認。
必要であれば教材のコピーなどを準備。
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・実際に指導。1コマ70分の1対2指導が基本で、指導報告書を記入しつつ指導を進める。
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・指導終了。指導報告書を全て書き終わることはまず無いので15分くらいかけて残りを記入し、室長にファイルと一緒に渡して業務終了。
といった形になる。一年もやっていれば手順はかなり身についてくるが、教材がどこにあるか、報告書に何を書けばいいのかなどはかなりローカルな仕組みで管理されているので、最初の頃は先輩方に話を聞きに行った方がよいだろう。生徒は小学生から高校生まで幅広くいるが、筆者の教室では小学生と中高生が半々といったところか。指導内容は小学生向けに塾の復習、中高生向けに定期試験対策が中心となるので大体の内容はこれまで勉強してきた内容でカバーできる。
シフトについては、通常指導期間と長期休暇期間で異なってくる。通常指導では自分の時間割やサークル活動などと相談しながら週の決まった曜日に働くことになる。反面長期休暇のシフトはかなり変則的で、休暇期間の2週間くらい前までに期間中の空いている時間を(暫定でも良いので)全て提出する。すると教室からスケジュールが送られてくるといった具合である。このスケジュールは細かい変更が入ることがほとんどで、こちらの都合でコマ数を減らしたり向こうの都合でコマ数が増えたりというのは日常茶飯事である。この辺りは教室による差が激しいが、通常期間は最大連続3コマ、休暇期間は最大連続6コマくらいまで入ることがある。休暇期間の方が忙しいがそれに比例して報酬も増えていくので時間をかける価値はあるだろう。
最後に給与について軽く触れておこう。同級生や先輩方の話を聞く限り、塾講のアルバイトはおおよそ時給1200~1500くらいのようである。一ヶ月あたりだと週2日×3コマ×4週間でおおよそのイメージが掴めると思う。現在東京都の最低賃金は1013円なので決して低くはないが、週に何十時間も働くわけではないアルバイトにとっては数字上の時給よりも業務の多さによる判断が重要になってくる。繰り返しになるが、業務の内容や給与の形態はしっかりと確認しておこう。
4.おわりに
ここまで初めてアルバイトをする人向けに筆者の体験や、それに基づく注意事項をつらつらと書き連ねてきたが、改めて強調しておきたいのはアルバイトを始めるのは決して焦らなくても良いということと、仕事の内容はしっかり確認すべしということである。大学生活は「授業―サークル―バイト」の三角形に囚われがちだと揶揄されることが多いが、いずれも適切に選択、運用すれば少なからぬ実りを今後の生活にもたらしてくれるものである。「自分で稼いだお金で自分の生活を作る」のはどうしてなかなか気分が良いものなので、この記事が少しでもその役に立てたなら幸いである。